その配偶者が離婚の意味と効果を理解している場合には協議離婚も、本人を相手とする離婚訴訟も行うことができます。本人に成年後見人が就いている場合でも成年後見人の同意は不要です(民法738条)。
その配偶者が離婚の意味と効果を理解できない場合には協議離婚をすることはできないので、成年後見の申し立てをして成年後見人を相手に離婚訴訟をすることになります(人訴14条第1項)。
なお、ご自身が配偶者の成年後見人である場合には、成年後見監督人を相手に離婚訴訟を提起することになります(人訴14条第2項)。
配偶者に精神上の障害があるのですが、判断能力が不十分な状態です。この場合の離婚手続きはどのようにおこなったらよいのでしょうか?
父が亡くなり相続がはじまったのですが、母親が認知症です。この場合遺産分割協議はできますか?
認知症で遺産分割協議の意味と効果が理解できない場合には、母親はご自身で遺産分割協議ができないので、成年後見を申し立て、成年後見人が母親を代理して遺産分割協議を行うことになります。この場合、特別代理人の制度はありませんのでご注意ください。
また、成年後見人も相続人である場合には、成年後見監督人または特別代理人が代理して遺産分割協議を行うことになります。
母が交通事故に遭って、びまん性脳挫傷、遷延性意識障害を患い、いわゆる植物状態となって病院に入院しております。保険会社は示談を求めてくるのですが、今後どのような手続を行ったらよろしいでしょうか?
ご本人がいわゆる植物状態でご自身で示談交渉ができない以上、ご本人の代わりに保険会社と示談交渉をする代理人を選任する必要があります。
ここで必要となるのが成年後見制度です。
成年後見制度は、ご本人の親族が申し立てることができますので、これによって後見人が選任され、後見人が保険会社と示談交渉をすることになります。
次に、示談交渉についてですが、一般に保険会社の提示金額は裁判所の判決で認められる可能性のある金額よりも低い金額が提示されることが多いので、保険会社の提示金額が妥当なものであるかどうか検討する必要があります。
この金額の妥当性については、お話しいただければ、ご相談に応じますので、お気軽にご相談下さい。
一人暮らしの叔母が脳梗塞で入院しています。医師からは回復の見込みが無いといわれておりますが、金融機関によれば、叔母の意思確認ができないと叔母の口座からお金をおろすことはできないとのことです。現在は私が入院費を支払っておりますが、このまま支払を継続していくことは困難なので、何かいい方法はないでしょうか?
ご相談にあるように、ご本人の今後の回復見込みが無く、自分自身で判断することが困難な場合のご本人の財産管理の方法として成年後見制度をご利用されることをお勧めいたします。
今回のケースでは家庭裁判所から選任された成年後見人がご本人の口座からお金をおろして入院費を支払うことができますので、ご相談者に負担をかけることはなくなります。
また、これまで立て替えて支払った医療費についても請求することができますので、領収書等は必ずとっておきましょう。
事前に任意後見契約で後見人を定めておくメリットって何ですか?
任意後見制度は法定後見制度とは異なり、予め後見人を誰にしておくか、ご自分の意志で決めておくことができます。
更に、今後の生活についても予め後見人と話し合って決めておくことができ、法定後見制度よりもご自分の意志をより反映させることができる制度といえることができます。
また、契約内容によっては、判断能力が低下する前から財産管理等を後見人にお願いすることもできますので、法定後見制度よりも便利な制度といえるでしょう。