札幌地方裁判所平成23年9月21日判決
考察
ブログの記事に対して、侮辱するようなコメントをされた場合には慰謝料が認められますので、泣き寝入りはやめましよう。
なお、判決で書かれている表現をググってみると、検索できてしまうので、ここではどのような表現がされているかは明らかにいたしません。
裁判所の判断
1 被告は,本件コメントのうち「⚪️⚪️⚪️に引っ越せ」及び「⚪️⚪️⚪️⚪️に財産を残せ」という記述が,被告の著書「△△」で論じている内容を分かりやすく説明している一般論であり,原告個人に対する言葉ではないと主張するが,当該書籍を閲読する限り,本件コメントのうちの上記の記述が当該書籍の要旨であると解することはできないし,少なくともインターネット上の本件ブログによって本件コメントを閲読する者の普通の注意と読み方をもってすれば,上記の記述の前後が明らかに原告に向けられたものであることから,上記の記述もまた原告に向けられたものとみるのが当然であるといわなければならない。
2 ところで,本件コメントは,原告が特に問題とする「⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️」,「⚪️⚪️⚪️引っ越せ」,「⚪️⚪️⚪️⚪️に財産を残せ」及び「⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️」との記述をみても,人の社会的な評価を低下させるような事実を摘示するものではなく,単に,原告が「⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️」で「⚪️⚪️⚪️⚪️に引っ越」すか「⚪️⚪️⚪️⚪️を残」すべき人物で現在は「⚪️⚪️」にないとの旨の,被告の原告に対する評価を表現するものにすぎないというべきである。
3 しかるに,学問上の論争に関わる表現の自由は,最大限に保障されるべきであり,論争の相手が「⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️」で「⚪️⚪️に引っ越」すべき人物であって現在は「⚪️⚪️」にないなどと表現することは,これがその相手に対する学問上の評価,論評である限りは,相手はもとより大方の賛同を得ないものであったとしても,直ちに不法行為に当たるということまではできない。
しかしながら,被告が本件コメントによって原告に対してした「⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️に財産を残せ」という表現は,明らかに学問上の評価,論評の域を超えて殊更に原告を揶揄し,侮辱するものであり,この点において,被告の原告に対する不法行為が成立するといわなければならない。
なお,このように本件コメントが少なくともその一部の記述によって殊更に原告を揶揄し,侮辱するものであることに照らすと,本件コメントが正当防衛若しくは正当利益の擁護のためになされたものであり,又はインターネット上の対抗言論であるから違法性がないとする被告の主張は,直ちにはこれを採用することができない。
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