9月9日の判決 いわゆる自炊代行業は犯罪です

長崎地方裁判所平成25年9月9日
判決

事案の概要

客から依頼を受け,客が私的に購入した著作物を裁断し,電子データ化するいわゆる自炊代行業を営む中で,著作物の電子データを複製するなどして蓄積し,売り上げを上げるため,著作物の電子データをDVD-Rに保存してこれを販売したほか,キャンペーンなどと銘打って,多数の者らによって同電子データがダウンロードできる状態にした。

裁判所の判断

犯行態様は,利欲目的で,反復,継続的になされた職業的犯行の一環であって,悪質性は高い。

著作権を侵害された被害者は4名,その著作物も多数に上る。

特に,被告人が保存先を知らせた多数の者らが保存された各著作物の電子データを取得できる状態となり,多数回(判示第5については合計400回を超える)のダウンロードがなされるなどしているから,被害総額も軽視できない。

以上によれば,被告人の刑事責任を軽くみることはできない。

他方,被告人は,既に自炊代行業を廃業し,再犯防止に努めたといえる。

また,100万円を準備して被害弁償の申入れをした。

これまでに前科がなく,母親が今後の更生支援を約束している。

これらは,被告人に有利な事情といえる。

懲役2年,執行猶予3年,罰金50万円。