訴えのもみ消しの取り消し請求事件
東京地方裁判所平成17年9月22日判決
考察
裁判には、損害賠償請求事件とか建物明渡請求事件とか、各事件には事件名といってタイトルがつけられます。
今回は聞いたことがない事件名なので取り上げてみました。
訴えのもみ消しって何だ?裁判官にもみ消し頼んだの?
しかも、そのもみ消しを取り消すってどういうこと?
もみ消しを取り消すということは訴えを維持するということ?
事案の概要が分からないので、判決から推測するしか無いのですが、この事件は裁判で負けた原告が、判決を下した裁判官を被告として訴訟提起したようです。
そして、その裁判官が原告の請求を棄却したのを、自分の訴えをもみ消したと考えて、自分の訴えのもみ消しを取り消すよう求めたみたいです。
それにしても、裁判所の一見馬鹿げた訴訟にも真摯に判決を書く姿、good job!(^_−)−☆
裁判所の判断
本件請求は,既に判決がなされたものと思われる当庁平成16年(ワ)第25482号事件に関して,担当裁判官と思われる裁判官に対し,「そのもみ消しを取り消す」ことを求めるものである。
しかしながら,右の請求の趣旨の意味するところは不明であるし,もしも特定の訴訟事件の判決に対する不服ということであれば当該訴訟手続内における適法な不服申立てによるべきであって裁判官を被告とする別訴によることは不適法である。
また,請求原因事実の記載も同様に意味不明のものであって,適切な補正の可能性があるとも考えにくい。
したがって,本件訴えは,請求を理由付ける事実の具体的記載がないというべきであるし,今後の訴訟活動等によっても,それを具備することが期待できないから,明らかに不適法である。
よって,本件訴えを却下することとする。