8月6日の判決 別居期間2年でも同居生活2年余りの時点で家庭内別居 離婚の成否

 

何年別居すれば離婚できますか,という質問をされることがありますが,別居期間2年でも同居が3年でうち同居生活2年余りの時点で,いわゆる家庭内別居状態に至った夫婦で子どももいない場合に離婚が認められたケースをUPします。

 

 

シニア婚で,結婚した途端,奥さんの態度が豹変したので別れたいという相談を受けたこともありますが,年齢がいってからの結婚はこれからますます増えるので,結婚に先立ち,結婚契約書などでお互いを思いやる確認が必要かもしれませんね。

 

 

東京地方裁判所平成15年8月6日判決

 

 

事案の概要

 

平成10年1月25日に結婚紹介所を通して結婚したが,子どもが以内夫婦の離婚が認められた事例。

 

原告は前妻を癌でなくした子持ちの再婚男性。被告は初婚女性で専業主婦。

 

原告の子ども達は既に成人しており同居はしていない。

 

原告と被告は新婚旅行後,建物を建築して同居。

 

当初寝室を同じくしていたが,原告のいびきの大きさが原因で被告は寝室を別にするようになった。これに対し,原告は,夫婦である以上寝室が別なのはおかしいと指摘したが,被告は安眠できないとしてこれに応じなかった。

 

また,夕食を1階で共にしていたが,原告・被告ともにお互いを気遣う姿勢に乏しく,被告は無造作に原告の所作に注文を付けたり,原告の感情を逆なでするようなことを言い,他方,原告も,被告の言動が一々気になって,被害者意識と不満を募らせ,暴言や暴行に及ぶなど,いさかいが絶えないようになり,現在まで2年以上夫婦関係もない。

 

このような経過をたどる中,原告は,平成12年11月1日ころ,被告との間で,双方の署名押印がある離婚届を作成。さらに,原告は,被告の両親に宛てて,性格の不一致で離婚することになった旨の手紙を出したが,結局上記離婚届を届け出なかった。

 

そして,平成13年10月20日,原告は,被告と同じ空気を吸いたくないといった理由で家を出て別居。以来,生活費を渡すも被告に対して離婚を求め続けた。

 

 

判決

 

被告は,原告が被告を悪者にするような一方的な主張により,プライドが傷付けられたとして,離婚に反対しているが,理想はともかく,現実的には原告との関係が修復できることには疑問をもっている。

 

別居期間はいまだ2年に満たないとはいえ,同居期間は約3年にすぎず,しかも,実質的には上記離婚届を作成した同居生活2年余りの時点で,いわゆる家庭内別居状態に至ったということができ,原告・被告間に子が存在しないことも考え併せるならば,被告の年齢等を考慮しても,信義則上,原告による離婚請求は認められないとすることはできない。