8月20日の判決 現行金利が2%以下であるにもかかわらず,融資当時の金利(6.3%)のまま返済させるのは不法行為・不当利得にあたる融資当時の金利と現行金利との差額分の返還を求めた事例
東京地方裁判所平成16年8月20日
事案の概要
原告は被告(国金)から,平成4年7月13日,年利6.3%の約定で7000万円を借り受けた。
現在,被告の新規貸し付けに対する利率は年2%以下。
また,被告は,過去6年間5%超の金利の一部または全部を減免する措置を講じた。ただし,原告がこの措置の適用を受けたのは5年間である。
原告は,被告から平成4年に年利6.3%で融資を受けたが,経済の変動に伴い,公定歩合は平成5年には1.75%,平成7年には0.5%となり,被告は,現在年利2%以下で新規融資をしている。しかし,被告は,6年間,年利6.3%を5%に低減したにすぎない。
したがって,原告は,平成7年から現在まで,年利6.3%と年利2%の差額(ただし,5年間については年利5%と年利2%の差額)分について損害を受けたとして損害賠償請求を申立て。
裁判所の判断
原告は,被告から,年利6.3%と約定して融資を受けたことは明らかである。
したがって,原告は被告に対し,契約に基づき年利6.3%の利息を支払う義務を負う。
なお,原告は,他の金融機関より低利であったため,被告から融資を受けたのであり,将来金利が低下したときには,6.3%の利息を支払う意思はなかった旨の主張をするが,この主張が法律的にどのような内容であるのかは定かでないし,原告の主張の根拠となる法律上の主張は見当たらない。
したがって,原告の主張だけでは,被告が年利6.3%の利率を減免する義務を負うとは認められないし,被告が年利6.3%の利息を取得することを違法であると認めることもできない。
考察
原告はあえなく撃沈したが,気持ちは分かる案件です。早期の借り換えが出来れば余計な金利を払わなくて済んだと思われますが,借り換えできなかったのでしょうね。