8月17日の判決 自転車で道路を走行中に道路工事に使われていたセーフティーコーンバーに乗り上げて転倒し骨折の傷害を負ったとする事案で被告の過失責任が否定された事例
事案の概要
本件は,自転車に乗って走行中,道路上に放置されたセーフティーコーンバーに乗り上げ転倒して怪我をした原告が,道路工事をしていた工事会社に対して損害賠償を請求した事案である。
裁判所の判断
被告が,隣接地との境界付近に円錐状カラーコーンを設置し,同カラーコーンの間にセーフティーコーンバーの両側のリング部分を同カラーコーンの頭部にはめ込む方法により設置することは,同カラーコーン及び同セーフティーコーンバーの通常の用法にそうものであり,元より適切である。
そして,被告従業員が本件バーを本件道路に放置したと認めるに足りる証拠はない。
原告は,本件バーが道路工事完了後に第三者によって放置されたとしても,本件事故時における本件道路の照度は0ないし5ルクスとかなり暗く,第三者が本件バーを放置すれば本件道路を通行する自転車に危害を与えることは容易に予測できたから,被告には24時間体制でこれを監視する義務があったところ,被告にはこれを怠った過失があると主張するが,本件バーが重量500gと軽量であること,本件事故時における本件道路の照度は10ルクス程度であり,進路前方の状況を判断するのに必要な明るさは確保されていたと解されることを併せかんがみれば,被告が,第三者が本件バーを本件道路に放置することを予見して,本件道路の利用者の安全を確保するため,24時間体制でセーフティコーンバーを監視する義務を負うと解することはできないというべきである。
以上によれば,被告には本件事故について過失はない。
考察
自ら前方不注意で走行していたのを棚にあげて,人のせいにするのは良くない。