12月28日の判決。男はツライよ!
子どもを連れ去った期間の養育費を婚姻費用から控除することはできない。
東京高等裁判所平成24年12月28日決定
事案の概要
別居中の妻が,長男及び長女を1泊との予定で夫に委ねたところ, 夫が妻に対する連絡を断ち, 3か月余にわたり長男及び長女を妻の下に戻さなかったとの事情の 下で,妻が夫に対し婚姻費用の分担を申し立てた事案
判示
一件記録によれば,平成24年4月27日から同年8月3日まで, 長男及び長女は,品川区所在の「A保育園」に入園・ 通学していた事実が認められ,この間, 抗告人が事実上養育していたものと認められる。
しかしながら,その経過は, 相手方が1泊の予定で長男及び長女を抗告人に委ねたところ, 抗告人は,連絡も断ち,長期間, 長男及び長女を相手方のもとに戻すことを拒んできたことによるも のであるから, この間の事実上の養育が抗告人によってされたからといって, その間の費用を減額したり,支払を拒むことは, 信義則上許されないものと判断される。
また,当審提出の資料によれば,抗告人の平成24年の収入は, 1月から9月まで約360万円程と試算されるが, ボーナスの支給の有無等により影響される平成24年分の収入を確 定することはできないから, 直近の確定収入として平成23年分の収入を採用することが不相当 であるとはいえない。
3 よって,原審判は相当であり, 本件抗告は理由がないからこれを棄却することとして, 主文のとおり決定する。
考察
バーグ条約が批准され、国際結婚においては、離婚の前の子どもの連れ去り行為を許さず、元の状態に戻すことができるようになりましたが、国内においては、以前として、離婚前に子どもを連れ去り、既成事実を作ることが、親権を取る常套手段となっています。
本件においては、離婚の前の別居中の事件なので、離婚に伴う子どもの親権は問題になっておりませんが、裁判所の判断を見ていると、現状維持を優先して親権は妻が持っていくんだろうな。
何れにせよ、裁判所は暮れの御用納めのときまで仕事をしています。