顔写真を登録することで匿名性を排除するというコンセプトのFacebookでも匿名でアカウントを作成することができるので,このアカウントを取得して他人を誹謗中傷することができます。
今回は,匿名で誹謗中傷された飲食店が誹謗中傷した者が誰なのか明らかにするために発信者情報の開示請求の仮処分を行いました。
この仮処分,相手方の住所の管轄裁判所に提訴しなければなりません。
となると,Facebookは外国企業なので,海外で裁判をしなければならないということになります。
しかし,外国企業であっても日本に営業の拠点がある場合には日本で裁判を行うことが出来るという民事裁判に関する規定があります。
今回はこの規定に基づいて東京地方裁判所に提訴されました。
その結果,IP アドレスの開示が認められたわけですが,IPアドレスが開示されただけでは,発信者が誰なのかは分かりません。
次の作業としては,開示されたIPアドレスや書き込みがなされた日時などの情報を元にIPアドレスを管理するプロバイダに対して,プロバイダ契約をしているのは誰なのか明らかにするよう求めます。
こうして始めてプロバイダ契約者が誰なのか明らかになるわけですが,この契約者と書き込みを行った人物が同一の者かは別問題となります。
例えば,プロバイダ契約は法人契約の場合もありますので,この場合,書き込みを行った人物は特定できません。
従って,その後は契約者に対して実際に書き込みを行ったのは誰なのか明らかにするよう求めていくことになります。
当方では,法テラス東京のインターネット相談の相談員を受け持っておりますが,ご依頼を受けて発信者情報の開示請求をしたところ,プロバイダ契約者が皆さん御存知の方が代表を務める団体ということがありました。
案外,身近なところに犯人がいるかもしれませんね。